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ピー・アンド・イー・ディレクションズ

2020.06.01
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いまさら聞けないデジタルトランスフォーメーション(COALA net - vol 6, 2020年春号より)

当社コンサルタントによる『いまさら聞けない』シリーズ。今回はデジタル化で既存の価値観を変え、事業そのものを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)について解説しています。

―― DXとデジタル化は何が違うのですか。

たとえば、書類の電子化はデジタル化ですが、書類の受け渡しを電子メールで行い、書棚で管理していた書類をクラウド上で保管し、テレワークが可能になった。これはDXの一例と言えるでしょう。つまり、単なるデジタル化と区別して、デジタル化によって仕事の取り組み方が変わり、既存の価値観や事業自体が変革することをDXといいます。
もっとも、テレワークはいま、新型コロナウイルスの感染防止措置として多くの企業が実施しています。その点でリスク管理の側面が強いのですが、事業の発展や企業の成長を目的にDXを導入する前向きな事例もあります。

―― 中小企業もDXを導入できるのでしょうか。

中小企業の導入事例は増えています。
たとえば、学習塾の例を挙げましょう。最近は、子供の所持品にICチップをつけ、それを読み取る機器を玄関に置いて、子供の出欠状況やセキュリティを管理するデジタル化の導入が増えていますが、その塾はこの機能を応用しました。塾に来る度にポイントがたまるポイントシステムにして、たまったポイントで文房具用品と交換できる仕組みにしたのです。生徒に対して塾に通う意識を高めたという点においてDXを図ったと言えるでしょう。

―― 他にはどのような事例がありますか。

中古車査定では、従来は、売り手が車を持ち込んで業者が査定していましたが、最近は、専用のウェブサイトに売り手が車の写真をアップロードすれば、自動で査定される仕組みが活用されています。中古車の販売会社は、人手がかからなくなったので、その分、車の査定額を高くして売り手にメリットを提供しつつ買い手にも安く販売できます。しかも全国へ取引を拡大できるようになりました。
一方、興味深いDXの導入例としてはあるネジメーカーの話でしょう。ネジの種類は無数にあって、多品種少量の特殊なネジはなかなか手に入れられないため、そのネジメーカーは受注生産を始めようと、ネジのECサイトを立ち上げたのです。ネジは多品種ですから、自ずと多くのネジをサイトに載せなければなりません。その結果、ECサイトはネジのプラットフォームとなり、結果として、そのネジメーカーは数多くのネジを扱う商社機能を持つことになり、業容拡大に繋がったのです。

―― 中小企業もDXを導入するべきでしょうか。

中小企業こそDXを積極的に導入するべきだと思います。確かに、DXの導入にあたっては、相応の投資が必要になりますが、DXは慢性的な人手不足の課題を解決する手段となり得ます。中小企業が限られた人材で生産性を高めていくためには、極力雑用や軽作業を減らして合理化を図るべきであり、その点でDXは有効です。さらに言えば、DXを活用しない企業は今後取り残されてしまいます。DXの進化に伴い、社会のニーズは変化しています。もはや企業はDXと無縁ではいられないのです。

―― 中小企業がDXを導入する際の留意点は何ですか。

まず、経営層が覚悟を決めて、旗を振る必要があります。そしてすべての社員がDXの導入を前向きに捉え、全社的に取り組む環境をつくらなければなりません。というのも、DXの導入には、時間と人手とコストがかかります。導入後は、仕事のやり方が大幅に変わるので、その変化を受け入れなければなりません。従来の手法で仕事を進めてきた古参社員にとって抵抗があるでしょうし、そうした古参社員が上役にいてDXに否定的な場合、下で働く部下は戸惑ってしまいます。DXを始めるのであれば、従来の手法を完全に捨て去るくらいの覚悟が必要です。
では、仮に全社的にDXを導入するということになったとして、次の留意点は、どのようなDXをどの部分に導入し、どう事業に活かすか、具体的かつ包括的に設計していかなければなりません。ITやDXに詳しい実務の担当者を用意する必要があるでしょう。

―― DXの導入における課題はありますか。

中小企業には一度導入したシステムを長く使い続ける傾向が見受けられます。デジタル技術は急速に進化しています。かつて導入した最新のシステムが、いまは非効率な古いシステムになっているということがよく起こるのですが、中小企業の方々は事業に支障がないから問題ないと判断しがちです。古いシステムを使い続けると、社会の変化に乗り遅れてしまいかねないので、この点は課題と捉え、注意しておくべきでしょう。
ただ最大の課題は、やはり人材不足だと思います。中小企業には、DXの導入に対して適切に投資判断できる人材がいないのです。そもそもDXの必要性を感じないまま事業を継続してきた企業が多いので、当然の現象かもしれません。ITやDXの知識があり、かつ社内の事情をよく理解したうえで、適切にDXを導入する実務担当者の育成が鍵になるでしょう。

―― 中小企業が人材不足の課題を克服するためにどのような方法が考えられますか。

社内の人材を外部の研修などに派遣して育成するのもひとつですが、中小企業向けにDXを構築する企業があるので、そこに委託するというのが現実的な方法になるでしょう。ただ委託するにしても、DXについて関心を持ち、その有効性について、ある程度理解を深めておくことが肝要であるように思います。

解説:古賀 勝(プリンシパル)

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COALA netとは

COALA netは、異業種の3社が協働して発刊した地域経済誌です。
COALAの「CO」は企業(Company)と地域共同体(Community)、「ALA」はアライアンス(提携)を意味します。企業にとって価値ある情報を発信し、企業と企業、企業と地域、地域と地域の強調を促し、地域の活性化に寄与することを目的としております。

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