【クライアントの状況・背景】 成長ドライバー強化に向けた、初の本格M&A構想
社内にM&A経験ゼロの中、ターゲット定義から初回接触までを牽引
あるITサービス企業では、成長の第二エンジンを模索する中で、特定業務領域のケイパビリティを外部から獲得する必要に迫られていました。特に中堅〜大手向けのソリューション展開を加速させるには、既存の延長線上では限界が見えていたのです。
事業成長の鍵を握るのは、「専門人材の確保」。ところがこの分野では採用難が慢性化しており、自前での獲得は事実上困難。そこで経営層が選んだ手段が、M&Aによる補完でした。しかし、社内にM&Aの実行経験は少なく、候補の探索・戦略立案・社内巻き込みのすべてがまだ白紙でこれからの状態。そんな中、P&Eにお声がけいただきました。
【P&E流アプローチ】 課題設定から、候補企業との実行接点創出へ
最初に着手したのは、「どんな企業を買いたいのか」というターゲット定義の整理です。必要な(補完すべき)専門人材の要件や提供サービス領域・内容、顧客層、組織文化などをひとつひとつ紐解きながら、共に「ありたい姿」を言語化していきました。
そこからは、“案件待ち”ではないプロアクティブサーチ型での候補探索に着手。定量情報(業績や企業規模、人員数や資格保有者など)の精査に加え、P&Eが得意とする定性情報(企業の置かれている環境や経営者の志向、事業方針などを中計・IR資料や経営者インタビューなどから紐解く)を活用した「手触り感のある絞り込み」により、実行可能性のあるショートリストを構築しました。
加えて、単に「買いたい」と伝えるだけでは応じてもらえないため、候補企業ごとの提案ストーリーも設計。「なぜ今、御社となのか」「どんな未来を描けるのか」—— 候補企業に寄り添ったメッセージづくりを通じて、初期接触を丁寧に設計していきました。
弊社クライアントの対象企業へのM&A打診・提案時に、対象候補企業との成長ストーリーを提案出来る様なシナリオを構築
(対象候補企業の徹底した個社分析に基づいて、候補企業の経営者・オーナーが求めるパートナー像を明確化、M&Aにより候補企業の潜在課題・ニーズがどう解消されるかをストーリー化)

【成果と変化】 意思決定の前進と、確かな手応え
本プロジェクトでは、アプローチ候補との実行接点の創出だけでなく、社内の意思決定の進化そのものを支援できたことに意義がありました。
当該ビジネス領域でのM&A未経験のクライアントが自ら候補企業の評価に加わることで、社内での理解と温度感が着実に高まり、成長に向けた補完・シナジーの戦略が、徐々に現実味を帯びていったのです。
「ここまで企業や経営者のことを細かく・深く捉えていくんですね」「自社へのフィット感やシナジーをより想像が出来る様になった」「今後のM&A検討においても、推進の仕方の参考になる」—— そんな嬉しい声もいただきました。
P&Eだからこそできた、3つのこと
- “空中戦”で終わらせない候補探索: 戦略と現実の両立を図るショートリスト設計
- 個社ごとの動機付けストーリー設計: 相手の経営課題に寄り添った語り方
- 意思決定プロセスの内製化支援: 経営層だけでなく、ミドル層の納得感も醸成