【クライアントの状況・背景】 ”ニッチトップ”の真価を見極める
高利益・高専門性、その裏にある「強さの構造」の解明が必要
対象企業は、国内外の研究機関等に向けて、高性能な電子機器を製造・販売するニッチトップ企業でした。当該電子機器の性能が研究の進捗や成果に直結する領域で、顧客は最高品質を求めており、同社は“この会社にしか作れない”製品を供給していました。
しかし投資検討を行うクライアントのPEファンドにとっては、驚くほどの高利益率が「なぜ生まれており」それが「持続するのか」が最大の論点でした。
—この競争優位はどこから来ているのか?
—他社に追いつかれるリスクはないのか?
—特定人材や取引先への依存はないか?
いずれも、財務諸表だけでは判断できない問い。だからこそ、P&Eに「この企業の構造的強さ」を解き明かす役割が託されました。
【P&E流アプローチ】 “数字で語れない価値”を可視化する
数字を超えて、模倣困難性と組織の熱量を読み解く
P&Eはまず、技術的独自性と顧客との関係性や提供価値を精緻に分析。結果、製品・サービスの価値を支えるのは「高度な専門性を持つ顧客と対等に議論できる人材と営業組織」であることを明らかにしました。
この組織は、外部採用ではなく、社内育成とリファラル採用で拡大されており、文化・知見・信頼が浸透したチームで構成されていました。そこには、研究者と対話できる専門性の高さ、自社製品に対する誇り、そして自律的に成長しようとする意志が共通して存在していました。
P&Eは、このような無形資産の連鎖構造を定性的に整理し、「高収益は偶然ではなく、構造的必然である」ことをクライアントに定量・定性の双方から示しました。
【成果・変化】 “なぜこの企業か”を語れるように——確信を支えるストーリーが投資判断を後押し
投資の意思決定に深みを与える、定性×定量の複眼的評価
本DDを通じ、投資判断を行う必要があるクライアントが得た示唆は、数字だけでは語りきれない「この企業でなければならない理由」でした。
・業界内に“この会社しかいない”状態をつくったニッチトップのポジション独自性
・技術だけでなく、“専門知の伝達者”としての人材及び組織構造
・模倣困難な人材採用育成・文化醸成・専門性向上が連鎖するサイクル
これらを可視化・言語化することで、単なる「高収益企業」から「構造的に強い企業」へと評価軸が再定義され、クライアントの投資判断にも大きな確信を与えることができました。

P&Eだからこそできた、3つのこと
- “構造の強さ”を可視化するDD: ポジショニング・人材・文化を一体として捉えた定性分析で、模倣困難性を構造的に評価
- “数字に映らない価値”の解釈: 単なる高利益率という表面的な事象だけではなく、それを生む裏側の連鎖構造を解明
- “競争優位のストーリー化”: 投資判断を後押しする、クライアントが語れる論理展開と言語化することの昇華