セミナー紹介

セミナー 2018.01.25

~イノベーションセミナーシリーズ第3弾~

「事業創造・事業革新の不変の法則」セミナー

アメリカにはアマゾンやIBMなど、日本の常識をはるかに超えるハイパフォーマンスな企業が多く存在している。しかもこれらの企業はいずれも永続的な企業成長を実現している。 何故であろうか。それは、これらの企業が、「未来からの逆算による新規事業の創造」と共に「既存事業の革新」にも取り組み、 “両利きの経営”を継続的に実現しているためである。 これらは決して「アメリカだから・・・」というお国柄や、経営者が優秀だからといった特別な事例ではない。それでは一体何故ハイパフォーマンスなアメリカ企業はこれを達成しているのであろうか? その要因について、”事業戦略面”と”経営システム面”の2つの側面から解き明かす。

第1部:米国の成功企業に学ぶ
~戦略的思考のベストプラクティス~

  • アップル、マイクロソフト、インテルなど、アメリカ成功企業を研究する中で解き明かした共通の「事業戦略」について解説
  • 講演者:マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院教授 マイケル A.クスマノ氏

第2部:既存企業と新規事業を成り立たせる為の両利きの経営システム

  • 事業創造の大転換に成功したIBMや創業以来高成長を続けるセールスフォースが実践する「経営システム」について解説
  • 講演者:東京理科大学大学院イノベーション研究科技術経営専攻教授 関 孝則氏

第一部
米国の成功企業に学ぶ~戦略的思考のベストプラクティス~

【講師紹介】マイケル A.クスマノ氏
 マサチューセッツ工科大学 スローン経営大学院 教授
ビジネス戦略やテクノロジー・マネジメントの世界的権威の一人。これまでに約90社に及ぶ企業・組織のコンサルタントを務め、複数社の役員を歴任
「ストラテジー・ルールズ」(2015年)や「君臨する企業の『6つの法則』―戦略のベストプラクティスを求めて」(2010年)など多数の書籍を執筆

永続的な企業成長を実現する事業戦略とは?

ハイパフォーマンスなアメリカ企業が永続的な企業成長を実現できた要因について、マイケル A.クスマノ氏からは「戦略的思考のベストプラクティス」と題して、事業戦略面から迫っていただいた。クスマノ氏はテクノロジー企業の戦略を長年研究する中でいくつかの成功の法則を見出したという。本稿では永続的な成長を実現する企業に共通する不変の法則のうち、セミナーで特に強調された2点についてご紹介する。
① 製品レベルの競争から“エコシステムレベルの競争優位”へ
② “未来ビジョン”をつくり、逆算して行動する

①製品レベルの競争から“エコシステムレベルの競争優位”へ

従来は製品レベルを意識した競争が中心であったが、近年、永続的な成長を実現する企業はエコシステムレベルでの競争を意識しているという。中でも各業界のプラットフォームを確立した企業は、多くの場合、その業界で支配的な立場を獲得し、ネットワーク効果などにより勝ち続けているという。実際に、ユニコーン企業と言われる企業の約70%が何らかの業界でプラットフォームを確立している。

例えば、マイクロソフト、フェイスブック、エアビーアンドビーがそれである。近年急拡大しているエアビーアンドビーは、物件とユーザーをつなげるだけでなく、旅行業者や空港会社、さらには清掃会社、保険会社などをつなぐプラットフォームをつくり上げている。

②“未来のビジョン”を作り、逆算して行動する

一般的な戦略の考え方は、歴史に学び、過去・現在から将来を推論しがちである。しかし、アップルのスティーブ・ジョブズやインテルのアンディ・グローブなど永続的な成長を実現した企業の経営者の多くは、これとは異なった思考をした。彼らはまず将来を推定・解釈し、未来のビジョンを作った。そして、そこから逆算して今何をすべきかを考えたのである。例えば、ビル・ゲイツは将来CPUの値段がほとんど無料になると予測し、超長期的に価値が残るのはソフトウェアと考え、マイクロソフトでソフトウェアに注力し勝ち続けることができた。

第二部
既存企業と新規事業を成り立たせる為の両利きの経営システム

【講師紹介】関 孝則氏
 東京理科大学大学院 イノベーション研究科 技術経営専攻 教授
日本IBMへ入社後、米国IBM、セールスフォース・ドットコムを経て、現職。日本IBMでは新規事業開発担当や技術理事を歴任。米国IBMではEBOの推進オフィスである技術ストラテジー部門に参画。セールスフォース・ドットコムでは、常務執行役員、先端技術ソリューション本部長を務め、IoTなど最新技術を軸にしたビジネス開発を担当。

IBM・セールスフォースで新規事業を生み出した経営システムとは?

ハイパフォーマンスなアメリカ企業が永続的な企業成長を実現できた要因について、関孝則氏からは経営システム面から迫っていただいた。関氏はIBM時代にEBO(Emerging Business Opportunity/新規事業)推進オフィスである技術ストラテジー部門に参画された。また、セールスフォース・ドットコムでは常務執行役員、先端技術ソリューション本部長などを歴任され、本セミナーではそれぞれの企業で経験した経営システムのポイントを語っていただいた。

新規事業を生み出すマネジメントモデルとは?

新規事業を生み出すマネジメントモデルには、Process/Community/Catalystの3つの構成要素があるという。それぞれ、Processは実行を司る公式なプロセス、仕組み、組織を、Communityは知識・洞察が生まれる場づくりを、Catalystは両者を結びつける役割の存在を意味している。これらが有機的に結びつくことによって、成功するケースが多いという。

例えば、IBMでは5万人の従業員が利用する社内SNS(Community)が存在しており、そこで活発な議論がなされていた。これに対して、EBOという公式な新規事業向けの管理手法(Process)を導入すると共に、その両者を結ぶ触媒(Catalyst)として技術ストラテジー部門を設置。技術ストラテジー部門がCommunityとProcessそして経営者を結ぶ活動をしており、結果として多くの新規事業が生まれたという。

一方、セールスフォース・ドットコムでは、CEO自らがCatalystになり、組織の枠を超えて全従業員の目標を公開するProcessと、社内SNS上に形成されたCommunityの活性化を推進していたという。

おわりに

事業創造の実現に向けて

永続的な企業成長を実現するためには、”事業創造”と”事業革新”の双方をマネージする必要がある。そのためにも、事業戦略を製品レベルではなく、エコシステムレベルで幅広く考え、かつ未来ビジョンから逆算することが重要となる。また、経営システムとして、ProcessとCommunityをCatalystにより結び付け、新規事業と既存事業が両立するように仕掛けていく必要がある。

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